退去費用の部位別解説
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にもとづき、部位ごとに「貸主の負担・借主の負担になる例」「負担割合の早見表」をまとめました。
住んだ年数別の退去費用
部位ごとの解説
クロス(壁紙)の退去費用と負担割合
クロス(壁紙)の耐用年数は6年です。借主の過失で汚したり破いたりした場合でも、借主の負担割合は「1 −(経過年数 ÷ 6年)」まで下がり、6年を過ぎると残存価値は1円(ほぼ0円)になります。日焼けや電気ヤケ、画鋲の穴など通常の生活でできたものは貸主の負担です。
フローリングの傷・へこみの退去費用
フローリングの部分補修は経過年数を考慮せず、傷をつけた範囲(原則㎡単位)の費用を借主が負担します。傷が部屋全体に及んで全体を張り替える場合は、建物の耐用年数(木造22年、RC造47年など)で負担割合を計算します。家具を置いたことによるへこみや日焼けによる色落ちは貸主の負担です。
畳の退去費用(表替え・裏返し)
日焼けによる畳の変色や、特に傷んでいないのに次の入居者のために行う裏返し・表替えは、貸主の負担です。飲み物をこぼした後の手入れ不足で汚した場合などは借主の負担になり、畳表は消耗品として経過年数を考慮せず、傷めた枚数分(原則1枚単位)を負担します。
ハウスクリーニング代と特約
借主が通常の清掃をしていれば、専門業者による退去後のハウスクリーニング費用は原則として貸主の負担です。ただし実務では、部屋の広さに応じた定額のクリーニング費用を借主が負担する特約が結ばれていることが多く、特約が有効な場合は借主の負担になります。
タバコのヤニ・臭いの退去費用
喫煙によってクロスがヤニで変色したり臭いが付いたりした場合は、通常の使用を超える汚損として借主の負担とされることが多く、部屋全体に及んでいれば部屋全体の張替え費用も借主の負担の対象になります。ただしその場合も、クロスの耐用年数6年による負担割合を考慮します。
ペットの傷・臭いの退去費用
飼っているペットが柱やクロスにつけた傷や臭いは、借主の負担と判断されることが多い損耗です。クロスなど経過年数を考慮する部位は耐用年数による負担割合が適用されますが、ペット可物件では「ペットによるひどい傷や汚れは経過年数を考慮しない」「消毒費用を定額で負担する」といった特約が結ばれていることがあります。
画鋲・釘・ネジ穴の退去費用
ポスターやカレンダーを貼るための画鋲・ピンの穴は、下地ボードの張替えが不要な程度であれば通常の生活の範囲として貸主の負担です。重い物を掛けるためにあけた釘穴・ネジ穴で、下地ボードの張替えが必要な程度のものは借主の負担になります。借主が所有するエアコンを設置したときのビス穴も貸主の負担です。
退去時の鍵交換費用
鍵を壊したりなくしたりしていない場合、次の入居者のための鍵の交換費用は貸主の負担です。借主が鍵を紛失・破損した場合は借主の負担になり、経過年数は考慮せず交換費用相当分(紛失の場合はシリンダーの交換を含む)を負担します。
エアコンのクリーニング・故障の退去費用
備え付けエアコンの内部洗浄は、喫煙などの臭いが付いていなければ貸主の負担です。寿命による故障も貸主の負担です。借主の不適切な使い方で壊した場合は借主の負担になりますが、エアコンの耐用年数6年で残存価値1円となるように負担割合を計算します。なお、実務ではエアコンクリーニングの特約が結ばれていることもあります。