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退去精算書(敷金精算書)の書き方

管理会社・大家さん向け|国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にもとづく|最終更新

結論

退去精算書には、物件・借主・入居日と退去日などの基本情報と、修繕項目ごとの「工事金額・経過年数・貸主と借主の負担割合と金額」、敷金から差し引いた返還額(または追加請求額)を書きます。 国土交通省のガイドラインにある精算明細書の様式(別表4)に沿い、通常損耗は貸主の負担とし、借主の負担分には耐用年数による負担割合をかけるのが基本です。

記載する項目

基本情報

  • 物件名・部屋番号・所在地
  • 借主と貸主の氏名(管理会社名)
  • 契約日・入居日・退去日
  • 借主の転居先(住所・電話)
  • 精算金額(返還額または追加で請求する額)

修繕項目ごとの明細

  • 対象箇所(壁クロス、フローリング、畳、鍵など)
  • 修繕の内容(洗浄・補修・塗替・張替・交換など)
  • 単価・単位・数量・工事金額
  • 経過年数(または入居年数)
  • 貸主の負担(割合と金額)
  • 借主の負担(割合と金額)

原状回復以外の精算

  • 未払いの賃料、退去月の日割り賃料
  • 短期解約違約金(契約で定めがある場合)
  • 敷引き(契約で定めがある場合)
  • 預かっている敷金と、差し引いた返還額
  • 返還・支払いの期日と振込先

基本情報と明細は、ガイドラインの別表4「原状回復の精算明細書」の様式例による。

記載例

出力される精算書の例(国交省の参考資料のケーススタディの数字)

クロスの落書き(入居4年・工事費36,000円のうち負担範囲の2面分)、フローリングの傷、畳の日焼け、通常の清掃済みのハウスクリーニングを精算した例です。数字は国交省の参考資料のケーススタディと同じです。

作り方の手順

  1. 1

    退去の立会いで、傷みと原因を記録する

    借主と一緒に部屋を確認し、傷み・汚れの箇所を写真に撮ります。通常の使用によるものか、借主の故意・過失によるものかを、その場で確認しておくと後の説明が楽になります。

  2. 2

    修繕の見積もりを取る

    業者の見積書が、精算書の単価・数量・工事金額の根拠になります。

  3. 3

    項目ごとに、貸主の負担か借主の負担かを分ける

    通常損耗・経年変化は貸主の負担で、借主には請求できません(民法621条)。借主の負担にするのは、故意・過失や手入れ不足による損耗だけです。

  4. 4

    借主の負担分に、経過年数による負担割合をかける

    借主の負担割合 = 1 −(経過年数 ÷ 耐用年数)。クロスは6年、流し台は5年など、部位ごとの耐用年数を使います。畳表・襖紙・障子紙・鍵などは経過年数を考慮しません。

  5. 5

    敷金から差し引き、返還額または追加請求額を出す

    原状回復費用のほか、未払い賃料なども敷金から差し引けます(民法622条の2)。返還期日と振込先を書いて借主に渡し、署名をもらいます。

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書くときの注意点

通常損耗を「年数分引いて」請求しない
家具の設置跡や日焼けなど、通常の使用による損耗は、経過年数に関係なく全額が貸主の負担です。負担割合の計算は、借主の故意・過失による損耗にだけ使います。
負担の範囲は「傷をつけた単位」まで
クロスは㎡単位が望ましく、借主の負担は傷をつけた箇所を含む一面分までです。畳は原則1枚単位、フローリングは原則㎡単位です。色を合わせるための部屋全体の張替えは、原則として貸主の負担です。
特約は、有効な条件を満たすときだけ使える
ハウスクリーニングなど借主に特別の負担を課す特約は、①必要性があり暴利的でない、②借主が通常の原状回復を超える負担だと認識している、③借主が負担する意思を示している、の3つを満たす必要があります。
消費税の扱いを書いておく
敷金そのものは預かり金で消費税はかかりませんが、敷金から差し引く原状回復費用には消費税がかかります。金額が税込か税抜かを明記します。
計算の根拠を1行ずつ残す
耐用年数・経過年数・負担割合を項目ごとに書いておくと、借主が内容を確認しやすく、後から問い合わせがあっても説明できます。

負担割合の計算方法と耐用年数の一覧 ・ 症状ごとの負担の判定

よくある質問

退去精算書に決まった書式はありますか?
法律で決まった書式はありません。国土交通省のガイドラインに「原状回復の精算明細書」の様式例(別表4)があり、多くの管理会社がこれに近い形を使っています。
敷金精算書と退去精算書は違うものですか?
同じものを指すことがほとんどです。敷金から原状回復費用や未払い賃料を差し引いて、返還額(または不足額)を示す書類で、解約精算書と呼ぶこともあります。
借主の署名は必要ですか?
法律上の必須ではありませんが、精算の内容に同意したことを残すため、署名欄を設けて署名をもらうのが一般的です。

出典:

この解説はガイドラインにもとづく一般的な目安で、個別の事案についての法的な判断ではありません。